最近気づいたのだけれど、僕らの世代はその上の世代よりも、10歳幼いのではないかという気がする。
子供の頃に思っていた20歳は、20歳だった頃の僕よりもずっと分別があって大人だった。
子供の頃に見た30代の親父は、30代の頃の僕よりもずっと父親らしい振る舞いをしていた。
社会人になりたての僕が知っていた40代は、40代になった頃の僕よりも立派な上司だった。
50代になってみたら、若い頃にイメージしていた40代のようなことをしている。
社会や経済の環境が影響している
僕らの世代の両親(いま75歳ぐらいの世代)は、高度成長期からバブルを経験してリタイアしている。
当時の定年は55歳が一般的だった。
その後60歳に延長され、最近では希望者については65歳が定年だ。
おそらく団塊の世代(いま70歳前ぐらいの世代)を境に精神年齢が若返っている。
仕事や社会において、責任が降り掛かってくるタイミングが、10年ほど後ろにずれたのだ。
同じように可処分所得の伸びも、役職給がもらえる時期が後ろにずれたのに加え、デフレの影響もあってかなり後ろにずれた。
少子化もおそらくこういった要因の影響を受けている。
デフレの影響はかなり大きい
ここ30年近く物価は上がっていない。
物価が安定していることは一見して良いことのように思える。確かに、短期的なキャッシュフローを考えると物価が安定していることはかなり助かる。
ただ、そのせいでローンを組みづらくなった。
たとえば、20年前に1,000万円で物を買ったとしよう。
インフレが続き20年掛けて物価が2倍になっていると、今それと同じものを買おうとしたら物価が2倍になっているので2,000万円必要ということになる。
一方で、デフレで価値が殆ど変わらない状況であれば、同じものは今でも1,000万円で買える。
5%の金利で1,000万円を借り20年間の元利均等払いとした場合、総返済額は1,600万円弱だ。
シンプルに比べてみれば、インフレなら今手元にある物の価値とくらべ400万円得しているのだけれど、デフレでは600万円損してしまっているわけだ。
つまり、デフレ環境下では借金をして物を買うのがかなり不利なのだ。
なお、20年間で物価が2倍になるには、毎年3.5%強の物価上昇が必要だ。
かなりざっくりいうと、バブル以前はお金を借りても返すのが簡単だったのだ。
少子化
こういったデフレ環境で賢く振る舞うのであれば、ローンを組んではいけない。
欲しいものがあったら貯蓄してキャッシュで買うか、少なくとも頭金の割合を多めにしローンをなるべく少なくして購入するのが正解だ。
今の日本は、若いうちに子供を作れるような経済環境ではないのだ。
子供を作る前に、共働きして、まずそれ相当の貯蓄をしなければならない。第一子出産年齢が高くなるのは当たり前だ。
人生において、人の親になるということは、個人の価値観にかなり大きな変化をもたらす。
自分の振る舞いだったり、価値観だったり、生き方や人生の目標がガラリと大きな音をたてて変わる瞬間だ。
多かれ少なかれ、子供に対して上から目線で物を言う機会が増えるし、守らなければならないものが増えたことで覚悟も変わる。
リスクより安定を選択することが多くなるだろうし、夢をあきらめたり先延ばしにするかもしれない。
そうやって、僕が子供の頃にこうあるべきだと思っていた落ち着いた大人ができあがるのかもしれない。
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